白馬堂 x Mountain Culture Club Rokko の【山のファーストエイド】講習会に参加してきました。新しいこともあったので、いくつかご紹介したいと思います。(あくまで僕のまとめで、全体を網羅するものではないのでご了承ください)
講師は Mountain Culture Club Rokko 高木義宣さん |
1.
【感染症予防 - プラスチック手袋の着用】
汗以外のものは全て感染源となり得る。処置を行う自分の身を守るべし。理想的には目や鼻・口の粘膜も守るべきだが、創傷に直接触れる『手』は一番に守るべし。
<< 意外に感染のリスクは大きい >>
血液感染のリスク、実際のところはどんなもんなんだろう?医療従事者が言う『意外に多い』も理解できるが、一般人レベルで実際にあるんだろうか?
< データもある >
市町村の保健所で感染症の動向を公開してる。例えば 神戸市(感染症発生動向)。病気によっては意外と多い...
< 実際に... >
白馬堂の浅野さん、昔、怪我をした男性の応急処置をしようとすると、「B型肝炎やから、ワシに触ったらアカンで!」と言われたことがあるそうです。やっぱり、少ない確率ではあっても、あるにはあるんですね。
今回の議論では、『助けられるほうが遠慮してしまう状況は作りたくない』、と。なるほどなと思いました。アウトドアで遊ぶことそのものを遠慮してる人もいるんやろな。手袋着用が当たり前になれば、助けるほうも助けられるほうも、遠慮なくスムーズに対処できる。遊ぼうと思う人も増えるかな。
<< 腫れ物に触るような.. >>
そうは言っても、つい今まで一緒に遊んでいた人を"病原体"のように扱うことに抵抗がある。という意見もありました。僕もそう感じます。では、どうすればいいんだろうか。
< "嘘も方便"かも >わかっちゃいるけど、仰々しく行うには抵抗がある。こういう人がほとんどだと思います。当たり前になれば何とも思わないんだろうけど。堂々と"ちゃんとしてる"と思わせるのが大事かな。
例えば子ども相手なら「おっちゃんの手が汚れとるかもしれんからな〜」もアリ。自分を感染症から守るという当初の目的とはズレるかも知れません。でも処置者と要救護者の信頼関係も大事。
< 処置を清潔に行うために >
自分を感染症から守るという当初の目的からズレるかもしれませんが、創傷部位を清潔にするためには、処置する人の手も清潔にする必要があるんじゃないでしょうか。そう考えると、手袋着用は極めて合理的ですね。
ハサミを手渡すとき、刃を持って把手を相手に向けますね。誰もがこうすると思います。友達同士でも親子でも。こんな感じにしていきたいなと思ったのでした。
コンビニ袋!いろんな使い方があるらしい |
2.
【湿潤療法 - よく洗って乾燥させない】
- 消毒をしない
- 乾かさない
- 水道水でよく洗う
僕は擦り傷切り傷絶えないので、よく実践してますが、確かに治りが速いと感じています。実践してるというか「消毒が面倒くさい」「よう洗ったらええやん」「乾くとすぐカサブタになるけど、すぐ剥がれて結局治るん遅くなる」という経験からのモノなんですが..
<< 消毒液は体の組織を破壊する >>
消毒液、傷口にしみてむちゃくちゃ痛いですね。あれは、体の組織を破壊しているから痛いんだそうです。やっぱり"痛み"って大事ですね。体に余分のダメージを与えてるんだから、治りも遅くなるってことだそうです。
<< 細菌の温床 異物を除去する >>
細菌は、それだけでは大して悪さしないそうです。例え怪我をしてても、体がちゃんと守ってくれる。ところが、異物や壊死組織があると、細菌の温床となり、体の防御機能を超えてしまう.. というわけで、細菌を殺す消毒にはあんまり意味がなく、それよりも、異物や壊死組織を綺麗に洗いましょう、ということだそうです。
<< 乾燥はダメ >>
お肌のケアに乾燥が大敵ってのは、傷の場合でも同じ。
<< そうは言っても.. >>
- 傷口が深そうな気がする(知らんけど)
- 砂や土が残ってるかもしれない(知らんけど)
- 処置後も汚れる、川の水が汚い(知らんけど)
という状況では、消毒するのが無難ちゃうのか(知らんけど)??と感じます。特にカヌーの場合、処置後の傷口を清潔に保つのがかなり難しい。
ただ、湿潤療法に適しているのは、そもそも深くない傷の場合。安易に消毒をしない・よく洗う・乾かさないという気持ちでいてもいいのかな、と思いました。
3.
【オススメグッズ】
便利なアイテムも紹介していただきました。その一部ですが。
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ヘモスタパッド ... 圧迫止血用の布。傷口にあてて、その上から押さえる。止血作用がすごい
いまばりレスキュータオル ... 精製水入りのタオル。煙を吸わないように作られたものだそうですが、水が入ってるので汎用性アリ
New Hale Xテープ ... テーピングは何かと便利。テーピングとしても使えるし、ガーゼの固定にも使える
サムスプリント ... 簡易ギプスとして使えます。副木あてるっていうても、そんなに良いもの転がってないヨ! チームに一つあるといいですね
マダニ取り用ピンセット ... ほんま、ああいうブツブツ嫌いなんです
ワセリン ... 乾燥予防。ガーゼをあてにく頭部の創傷などにも使える。鎮痛効果も。アレルギーフリーの白色ワセリンがgood
【最後に】
講習会では、いろんな話を聞けました。全て網羅しているわけではありません。日頃の山にカヌーに全部持っていくのは難しい、というのも本音だと思います。日常用としてポケットに入るぐらいのエイドキット、チーム用としてザックに入れるぐらいのエイドキットを用意しておくのがいいのかなと思います。
なんでもかんでも持ってはいけないので、限られたものを最大限に使うことが大切。どういう状況で使うのか、可能な限り詳細にシミュレーションしたいです。
個人的にとても怖いと思っているのが、集団心理です。「そんな大袈裟な..」とか、「誰がするのかな」とか。「自分がやって後で怒られないかな」もそうかも知れません。人間、そんな立派にはできてません。訓練も無しに、立ちすくんだ群衆の前で「私がやります!」なんて言えません。なかなか訓練もできません。
いろんな人と話をする利点は、気持ちのシミュレーションができることじゃないかと思います。自分なりの言い訳や、落とし所を見つけることができれば、実行にも移せます。そんなに地道な練習も必要ないし。
帰宅して、妻に「君が怪我したときに、僕が手袋してたらどう思う?」と聞きました。妻は「なんか、嫌な気持ちになる」と答えました。ほとんどの人がそうだと思います。「でも、感染症のことより、傷口を清潔に保つには絶対ええと思うねん。I & I のツアーでも、ちゃんとやろうと思うねん」 と言いました。正直なところ、実際起こったときにどうするかわかりません。でも、これでようやく手袋を着けれるようになったと思います。
そういう、小さな引っ掛かりと、小さな落とし所。大切なんちゃうかな
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