2020年4月6日月曜日

大阪・桜ノ宮お花見 - 2020/04/06

大阪桜ノ宮ツアー。緊急事態宣言直前、桜満開の大川(旧淀川)を漕いできました。


中之島、堂島、土佐堀、天満橋、京橋、大阪城。大阪に縁がある人なら必ず聞いたことがある地名。陸の上では橋を渡り高架を潜りと地理がピンとこない人も多いと思います。水の上では全く違う。右と左がどこなのかすぐにわかります。低い場所から”俯瞰”できる。


ここから京・琵琶湖へも通じるし、堺や紀伊につながることも体でわかる。交通・交易の要だったことがすんなりと理解できます。




自然や街の歴史や動きが、自分の身体のサイズで理解できる。

COVID-19 のこの状況は、望む望まずに関わらずそんな体のサイズの生活を教えてくれる気がします。



日常ってなんやろか。生活ってなんやろか。家ってどこやろか。家の周りには何があるやろか。自分にとって何が必要で何が不要か。
今まで唯一と思っていた働き方も生活もそうではなかったと突きつけられ、生活を自らの体のサイズで再構築しなければならない。


それを不安ながらも楽しんでいる人もいる。焦りや怒りを吐き出したい人もいる。だら〜っと流れるのを待つ人もいる。新しいことに挑戦したい人もいる。困窮している人もいる…。全部僕なんだが。

本当に気のせいかも知れないが、3月以降ずっと空が穏やかな気がする。元々の自然の柔らかさと力強さがあるというか。春はもともとそんなもんかね?


今も外はしとしと雨が降っているが、こんなに静かな日曜日は、ひょっとすると人生最後かも知れないなんて思ったりもする。



* このエリアを漕ぐ場合、ガイドツアーに参加するかこのエリアをよく知った方と一緒に漕ぐことを強くおすすめします。流れや波といった危険は少ないですが、都市河川ゆえの人工物や 動力船の往来という危険が大変多く、非常にリスキーです。遊覧船の妨害にもなりかねません。水都の歴史を大切に。

2020年2月19日水曜日

腹筋をゆるめる

カヌーが絶対上達する陸上トレーニングの紹介です。

「やってよかった!」と思えたトレーニングを紹介します。僕の体験談なので個人差はあると思いますが、初中級者は試してみる価値ありです。それは、

【日常生活のあらゆる場面で腹筋を使わない】

です。正確には『腹直筋』を使わず、常にお腹をゆるめていられる姿勢を維持する、です。特に座った状態でやってみるのがいいかも。

腹直筋とは、いわゆるシックスパックスの腹筋ぼこぼこしてたらかっこいいやつ。ここに力を入れない!

寝転んだ状態から起き上がる時、逆に寝転ぶとき。
テレビのリモコンを取ろうと手を伸ばすとき。
食卓の上の醤油をとろうと手を伸ばすとき。
体をひねってシートベルトをつけるとき。
運転中、左右確認でちょっと身を乗り出すとき。

こんなとき、ピキッと腹筋に力が入っていると思います。こうならない姿勢と動き方をやってみる。


座っているなら、
  • 骨盤ををたてて座り直す
  • 脚の付け根を支点に
  • ゆっくりギュッとおへそを前に出す
  • 足裏に荷重する
後ろへ振りむくなら
  • やっぱり座り直して
  • 足裏の荷重を抜かずに
  • 背骨を回転させる
こうすることで腹筋に力を入れずに動けます。

腹筋に力が入るのは、重心が体の軸からずれて強引にバランスをとろうとしているから。腹筋を緩めていられるのは、重心が体から離れずに、お尻と足でしっかり体を支えていられるから。

大きな動きもない座った状態でいかに体を支えられるかが、パドリングにもカヤックを進める動作にも重要です。

ぜひお試しあれ。

2020年1月2日木曜日

宇治〜大阪ドーム 淀川縦断52km - 2019/12/31

『.... 59.... 60.... 61.... 62.... 』
『.... 82.... 83.... 84.... 85.... 』



気づくといつも、漕ぎを数えている。両手で1回。51なら、右手が「ごじゅう」で左手が「いち」のように。左右のどちらが先かは決まっていないようだ。

声には出ていない、と思う。口の中で声になる直前の、舌や唇を動かそうとする筋肉のざわつきだけが残っているような。頭では肉声と区別できていないから、いま思い返しても、本当に声に出ていないのかどうかわからない。

2019年の後半は公私ともにバタついてしまった。恒例にしていた年末のナラヨシ・スーパーロングもできなかった。このままでは年を越せない。心も体もピンと張り詰めるような漕ぎをしないことには、一年を締め括ることができそうもない。

急遽思い立って、大晦日、宇治川〜淀川を漕ぎ切るというチャレンジをしてみた。始発、ファルトを担いで京阪宇治まで。車を一切使わないのも久しぶりだ。パッキングにも気を使う。


初心に還るというのも、今回の旅の大事な理由だったと思う。ファルトを担いだ川旅に憧れてカヌーを始め、当時と今と何が違うのか何が同じなのかを確かめる。


レスキューギアやファーストエイド、予備パドルなんてものは当時持っていなかったな。コースの選択や時間配分は、めちゃくちゃうまくなっている(というか完璧だと思う)。本当はさらに上流の天ヶ瀬ダム直下からスタートしたかったが、荷物を担いで徒歩が+30分。日没までのタイムリミットのためにも体力のためにも断念。


橘島にかかる朝霧橋の右岸からスタートする。ここから17kmほど先の背割堤までは川の流れもあり快適に進む。背割堤を越えると左から木津川、右から桂川と合流し、宇治川は淀川と名を変える。ここからがきつい。川幅は広くなり、風を受ける。流れはさらに緩やか。


上陸して休憩すると時間を喰う。乗艇したままエネルギー補給。風向きと、わずかな川の流れをみて手を休めても進んでくれるラインに乗せて、おにぎりを頬張る。寒くて固まっている。


この艇でしっかり漕ぐ機会がほとんどなかったが、艇の動き方・進ませ方もわかってきた。パドルを入れるタイミング、体重のかけ方、足の踏み方、腰の回し方、等々。全てがはまれば艇は滑らかに、力強く前に進む。

ところが、この漕ぎ方では負荷が高すぎる.. 何度も足が攣り、その度に休まざるを得なくなった。今回のような長距離ツーリングでは省エネストロークこそが向いている。ところが省エネで漕ぐと、艇の動きが不安定でストレスになる。

結局、負荷が高い漕ぎと低い漕ぎを交互に入れながら、進んで行く。


淀川は、淀大堰によって分断されている。この大堰堤から下流が新淀川。阪急やJR各線で渡河するおなじみのエリアだ。淀大堰の上流部左岸には毛馬閘門と呼ばれる大水門がある。この水門の向こう側が旧淀川、大阪中心部を伝う幾本もの川となる。

今回は、毛馬閘門をポーテージし桜ノ宮から大川に入る。このポーテージがめちゃくちゃしんどかったんだが... 詳しくは書かないことにする。


大川を下り寝屋川の出合を越え、中之島の南側、土佐堀川を行く。少し浮かべたことはあったが、ちゃんと漕ぐのは初めて。下から見上げる大阪が、こんなに美しいものだとは知らなかった。


日が落ちて、ビルが光り、水面が光る。大晦日の街の、静かな空気が心地よい。


西日があまりにもキツいので、ここでサングラス登場。昼間は全然使わなかったのにね。


一つ一つの橋も趣きがある。土佐堀川から木津川に入れば、ゴールまであと少し。今日の川旅があと少しで終わってしまうことが、少し寂しくなってきた。


大正・大阪ドーム 前でゴール。約52km。8時半スタート、4時半ゴールの8時間。住之江まで行きたいなとか思っていたけど、それは次の機会にしよう。



日が沈み、周囲が見えなくなる頃には片付けも終了。ここから再び電車に乗って帰宅する。

初心を思い出したか?気づきがあったか?無心になって楽しめたか?はっきり言って、全然わからないのだ。一言では言い表せない気持ちが多すぎるし強すぎる。ただね、カヌーが好きでカヌー旅が好きでどうしようもないんだわ、というのは再確認。

一人でも、少しでもカヌーが好きになって欲しい。カヌーを通して見る世界が好きになって欲しい。こんな I&I Paddles です。本年も何卒よろしくお願いいたします。