琵琶湖の沿岸地域は、平だ。本当に真っ平ら。湖の縁から田が始まり、全く同じ高さのまま山の端まで続く。ああ、ここは湖の底だったんだな。かつてあの山の 際まで水があったことがあるんだろう。湖底に泥が溜り、岩山を包み隠す。地学的な変動か、人工的な干拓があったのか、どういう経緯か、僕はそこで車を走らせる。
気になっていた場所があるんだが、水がなくなり、底真っ平ら。漕げずに退くのもしゃくなので、足を泥に突っ込みながら歩いてみた。平地を形成する土の堆積と、凹凸を作る岩の隆起の対比を感じる出来事だった。
そう考えると、普段、僕が漕ぐ場所のほとんどは岩で形成された川なのだ。岩=山の合間を縫って流れる川、岩に押し寄せる海をイメージするが、公園や学校の運動場の隅に溝を掘って水を流したときのことをも思い出す。土でできた川なんぞ、すぐに崩壊する。
ただし、琵琶湖の周囲はそうやってできた地域なのだ。整理された田の周囲にはまっすぐな水路が伸びる。川の水面の高さも田の高さと変わらず続き、琵琶湖に流れこむ。河口には土が砂がたまり、新しい土地には木々が育ち、葦がそれを守るようでもある。
カナディアンに自転車を積んで、テキトーな場所で上陸。
車を取りに戻る。
琵琶湖、最北端から最南端まで約65km らしい。これはいっぺん漕がなあかんな
懐かしい匂いがした。稲を刈った田んぼの匂いと、どこかで籾殻を燃やした残り香が、秋の澄んだ空気に混じる。子供のころの通学路を思い出す。琵琶湖は"大自然"ではない。人の生活を受け入れてきた、自然。
良さげな水路を見つけて、漕げるところまで漕いでみる。そんなこんなでプラプラしていると、面白い施設を見つけた。
写真の奥、水路の先に穴が空いているのがわかるでしょうか。西野水道というらしい。江戸時代、余呉川の氾濫に悩まされた人々が、山にトンネルを開け、琵琶湖に水を流したそうだ。当時のトンネルはこっち、通れるようだったので行ってみた。
いざ通ろうと思ったんですが、はっきり言います。怖い。これ一人で200m は無理です。目の前にコウモリぶら下がってるし。10mほどで退散。今度、誰か付き合ってください。
人と水の歴史。湖と土の歴史。どんな川でも海でも、そこに暮らす人々の姿がある。それでも、琵琶湖での人の姿は、どんな場所より色濃く感じる。
カナディアンの積み下ろしは大変だけど、自転車を載せるのがすごく楽。こんな日没でも、漕げるところまで漕いで、テキトーなところで上がる。
ちなみに、琵琶湖本体もちゃんと漕いでる。二日間で唯一出会ったカヌーイスト。
プラプラしたものの、新しいツーリングコース作りには至らず。でも、もう少し工夫したら面白いコースになるんだろうな、というところはいくつもあった。また、プラプラせなあかんな。
琵琶湖、最北端から最南端まで約65km らしい。これはいっぺん漕がなあかんな
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